オタの共産革命に思う・その2
オリジナルの共産主義思想が破綻したのは、かなりイカれてはいたけれど頭脳明晰であったマルクスというおっちゃんが、自分を規準にして人間の価値を測ってしまったからだ、と思う。「資本論」において、1エレの布の価値はあーだとかこーだとかちまちまやっていたパラノイアにしては呆れる程の杜撰さだが、結果的にそう見える。
肉体的な能力において、マルクス並みの労働者は山ほどいる、というか、ほとんどがマルクス以上であったように思われる。だが、知識・教養・社会認識に至るまで彼と同質の労働者なんざいるはずがない。んだもんで、後の共産主義革命は、擬似マルクスたる共産党という組織をでっちあげ、プロレタリア独裁とゆーのを強調するに至った、という感じ。
労働者は元々持ってるマルクス以上の肉体に、マルクス並の頭脳が伴うまで、共産党によって「等しく無価値」と決めつけられる。だが、マルクス並にならないものについては、それなりの保護を約束する。で、「頭脳がマルクス並になったら自由にしてやるよ」と、ばら色の未来についての約束をするわけだ。
しかし、この約束は守られない。というか人間の寿命に限界があり、能力の半分弱ぐらいまでが遺伝的要素によって決まってしまうということ、さらにそれなりに基礎のしっかりした教育を受け、独自の倫理観を醸成しない限り、人間の内面的成長はいとも簡単に止まってしまう、という事実を考慮すると、守りようがないのである。こういう約束を導いてしまった原因が、マルクスが能天気であったためか、それとも天性の詐欺師であったためかはわからない。個人的にはたぶん前者じゃないかと思う。「マルクスの後継者(自称)」は残らず後者だが。
ともあれ、そういう守れない約束を基礎に「理想郷を準備する組織」を作ろうとした結果、ナニが現れるかというと、自称弱者による恐怖の逆差別体制ができあがるだけだったりする。構造的には、カルト教団に極めて近いものとなる。
オタクコミュニズム(以降、勝手にオタコミと略す)にこれをあてはめてみよう。ある日突然、オタク界のカリスマ(眼鏡をかけたマルクスを想像しよう)が出現し、男女の性価値を等しく無価値と決めつけ、自律的な市場を権力をもって停止する。しかる後に、市場全体をその手に握ってしまい、計画経済の名のもとに、再分配(自称)を試みる。だが、結果的に無価値の再分配にしか過ぎないため、需給バランスは常に実態と合わないものとなる。その誤差を埋めようとカリスマが介入するので、とどのつまりは、カリスマが独占するものの余得を、カリスマにおもねるものだけが得る、という構図ができあがってしまう。
まあ、そういう感じで見ると、北朝鮮の体制というのは共産主義の骨格を実に忠実に発展というか、暴走させたものだとも言えるし、男女の性的価値の再分配にまでマルクス主義を拡大したという点においては、将軍様は偉大であったのかも知れない。ただし、そういう「偉大な」将軍様が現在世界各国から痴呆呼ばわりされているのも、また否定のしようのない事実であろう。
…という感じで、結構面白くなってきたので、まだしばらくオタコミ考察ごっこを引っ張る所存。
Comments
計画経済に対するたとえが非常に秀逸であります。いえ私も○経をゼミで教わったから言うわけじゃありませんが。
Posted by: 山崎賢一 | February 22, 2005 10:23 PM
まあとりあえずモドキですが史学徒だったということで。
本棚探してものが見つかったら「乱交じゃー!目指すは乱交なのじゃー!」とエンゲルスがほたえた「家族・国家…」のWeb上講読でもやろうかと思いました。
Posted by: 高安 | February 22, 2005 10:43 PM