もの書きの資質
もの書きで喰って行こう、などと考える人は、基本的に鼻っ柱の強いオナニストでございます。
まあ、それっくらいでないと人様に自分の作品を晒そう、などとは考えないのでしょうから、これはこれで仕方のない現実である、と認めるしかないでありましょう。
しかし、それらの方がみんな「書いて気持ちいい」文章だけを作っている場合、出版業というのは成り立たなくなるわけでございまして。やっぱり「もの書いて喰う」ということを前提にした場合、「読んで気持ちいい」文章にするのが基本ではなかろうか、と。
いえ、「書いて気持ちいい」文章を書くという行為を否定する気はございません。そういう方たちは、商売ではなく趣味としてお書きになればよろしいのです。安永航一郎さまが「恥とせんずりはなんぼかいてもタダじゃっ!」という名言を残しておられますが、同人文もまったく同様で、いくらかいても費用がかかることはございません。ただ、それでおあしを儲けることができないだけでございます。
てな感じで、まず最初に、「自分のためでなく、人のために文章を書けるか」てなとこが、単なるもの書きから商業文士に変身するための第一の壁になるでしょうな。
ま、「人のための文章」とはいえ、完全に万人むけのものにする必要はなく、ある程度「自分と似通った人間」だけをチョイスしてお客さんとすることは許されているし、そこらの絞り込みをきちんとやらんと出版社は潰れてしまう、とも言うことができます。
いずれにせよこの段階で、もの書き候補の鼻っ柱は一度粉砕されなければならないわけです。その過程で、「自分だけは特別」だという思いこみもボロボロにされ、「99%以上よくいるそこらの人間であった自分」というのを思い知らされるのだ、と申せましょう。
で、その事実を受け止めて、なおかつ最後の1%を効果的に使って独自なものを書ければ、使い物になるような気がいたします。
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