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June 11, 2005

自分がモテた時の話

蛇足気味だが、息子ばっかりネタにしてはかわいそうなので、自分をネタにした話を。

ちゃんと三回モテた時期があったのかどうかは知らないが、とりあえずそのうちの一回は、中学生ぐらいの時の親戚の葬式の時にきた。

その時はまだ存命だったじいさんばあさんの姉妹だという人たち(当然、老婆だ)がよってたかって、

「ほお、いい男だねえ。役者のようだ」

などと口々に褒めていったのである。それまでの人生においても、それ以後の人生においても容貌をそのように褒められた経験がなかったので、自分のことながら非常に不気味であった。だが、今から考えてみると、あれが「三回のうち一回」だったのだろう。ものすごく勿体無いことをしたような気がする。いや、自分でなんとかできるような類のことではないのだが。

願わくば後二回分きっちりと残っておりますように。

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息子、モテる

人間にはなんでも生涯に三回だけ、モテモテになる(自分の人生の他の期間に比べてだが)時期があるのだとか。三歳の息子は、今ちょうどその時期らしい。

今日は父の日の前日だというので、幼稚園に参観に出かけた。参観とはいっても年少組のことであるため、教室の中で何かをするというのではなく、園庭で親と一緒に障害物競走と称し、平均台渡ったり網くぐったりしたのだが。

で、その競争の順番を待っていると、あたりの女の子が息子に声をかけることかけること。他の男の子はまるでそんなことはなかったのに、ちょっと異様な雰囲気であった。

その当人、絶世の美少年なのかというとそんなことはまるでない。頭がでかい、ぬぼーっとして感情のエンジンのかかりの少し遅い、将来偉く理屈っぽくなるだろうなあ(親に似た)と思われる、ほんのちょっと変だがまあ普通の子供である。クラスには、もっと顔形の整った子もいたし、息子より元気で男の子らしい子もいた。

結局、バランスなのかなあ、と思った。少し離れて見たところからはそのよさが(よさがあろうがなかろうが、息子は息子であるから、何ものにも代えがたく可愛がるのだけど)見えないのだけれど、視点を変えれば、「きゃーすてきー」となるようなものが出ているらしい。

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June 10, 2005

感想

某書店ではすでに絶版扱いにされた某書籍の書評を見つけた、ありがたいことです。

で、そちらの方は「忍法帖」に絡めた形で受け取ってくれ、なおかつ馬鹿馬鹿しい、と言ってくれた。

それに勝る評価の言葉はありませんな。

何が怖いって、風太郎ファンの方から「忍法帖を貶めたな!」と言われることほど、恐ろしいことはありませんでしたから。

某掲示板の連中から「抜けねえ」と言われるのは全然こたえないけど。

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取材

版元が潰れたおかげでそこから出していた本の出版契約が消滅し、よそから出せるようになった。だからこの数日、せっせと再刊するために動き回ったのである。その結果、いくつか「商談」が進むようにはなっているが、その中で結構イイ感じで進んでいるのが、某掲示板ウォッチングの本だったりする。

まあこうなった以上、取材という意味でちっとは見ておかないとなあ、と思ってさっき見に行った。お目当ては当然だが、潰れた出版社に関する話題のあるところ。そしたらまあ、結構大量にこのブログに関するコメントをいただけていたようですな。

本体はこの数日一つのコメントもついてないのに。

いずれにせよ、小さいけど(ホントに小さいが)話題にはなったので、残った本の売り上げにも微妙に影響が出たようだし、売れるかどうかはわからんが、こちらの商品価値が微妙にそれまでとは変化した、てのは間違いない。ついでに再刊する本を増補するためのネタも貰えたようなので、こちらとしては一応満足。悪口はいくら言われてもタダだし、そこにたむろする連中のものに限ればマイナスの影響も皆無(せいぜいアマゾンで書評の名を借りた悪口書き込まれるだけだな)なので、もうしばらくにぎやかしてくれい>某掲示板の方々。

あ、そのうち約二名については、書き込みから本名分かっちゃったので、もうちょい掲示板への書き込み方に気をつけた方がいいと忠告しときます。晒しはしないが、同業界にいるものとしてはその書き方は恥ずかしいと思う。

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こっそり復旧

某会社(どう書いてもバレバレですが)のWebサイトのバックアップデータを、うちの会社のサーバに上げといたので、アドレスをこっそり(になってませんが)書いときましょう。

http://www.jcninc.co.jp/~softmagic/

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よろしい、ならば便乗だ

ふと、こんなもんを見つけた。

http://www.bunshun.co.jp/mag/bessatsu/index.htm

竹本健治氏が、 『キララ、探偵す。』というのを文藝春秋の別冊で連載開始するようで。

内容が美少女アンドロイドとのもんもんとした生活って、そりゃ世間一般の人は知らんだろうが、あたしゃ去年そういうのを書いたぞ。ブログ左っかわの「人造美少女ハルナ」参照ね。

ここで別にパクりだなんだと騒ぐつもりはないっす。見てない可能性のが圧倒的に高いし。だいたいこっちのにしたって、客寄せに使う要素は既存の売れた作品から意図的に引っ張ってきてるしね。

が、メジャーどこで似たような作品が後追いで出てきた、ということは、パクりの誹りを受けずに本売るチャンスだ、ということなので、しっかり便乗させていただきましょう。

というわけでみなさんここクリック。まだ買えるみたいですから。

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June 09, 2005

あんまりライターらしくない一日

春秋戦国時代の弁舌家は、まず諸侯の前に出ると、天下国家の情勢を語り、しかるのちに「さて大王のためにこれを論ずるに…」と自分の策を語ったそうだが、昨日はなんか一日中こんな感じのことをやってた。

ただ、最初に語るのが、天下国家の情勢ではなく、アキバの情勢だったんだが。

今日はもの書きしよう。

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June 08, 2005

「すい~とP」とは何だったのか

なんかアクセスが集中するようになった(最後通牒さん、かとユーさん、銀堂さんに感謝)ので、潰れたブランドを再生できないかどうか公開で多少あがいてみようかと思う。

まず、「すい~とP」なるシリーズだが、これは正直、30代の男性をメインターゲットとして作った。ソフトマジック社長の考えは微妙に違っていたようだが、少なくともうちで関与した作品は、「腐女子的らぶたん」以外全部そうである。

この人たち、色気づいてからこの年に至るまでずっとエロゲとかエロアニメとかに囲まれて育っているわけだが、そろそろ外圧が強くなってきてるので、社会に出て働かざるを得なくなってる。かてて加えてびみょーに景気良くなって来ているので、モノさえ選ばなければ仕事はびみょーにある。選べる自由がなくなっている、という点も、そのびみょーな仕事につくことを後押ししてる。

そうなると、じっくり家でエロゲをプレイする暇がなくなる。働かない筋金入りのニートであっても、DVDレコだなんだとかの趣味アイテムによって、1日あたり24時間しかない持ち時間を食いつぶされるので、やっぱじっくりエロゲする時間がなくなる。

結果、エロゲではなく同様のテイストを持ち、なおかつ消費するのにかかる時間・コストが少なくて済むアイテム、つまり「アキバ系萌えエロ小説」がそこそこの市場を持つことができるんじゃないかね、とこう考えたわけだ。

似たようなメディアとして、漫画があるけど、最近じゃストーリー漫画はほとんどまともに完結してないし、完結するとしても数年はざらにかかる。が、知名度が低くてそうそう何巻にもわたる大長編を作るわけにはいかない零細版元の場合、「一冊完結」が基本なので、逆説的にではあるが、「あるお話を読み終えた」カタルシスを読者に与えることができるだろう。とまあ、こうも考えた。

版元の規模が大きけりゃエロ抜いてもよかったんだけど、お客さんの年齢が高いから、表現の幅を広げる、という意味で「絶対エロなし」などという方向にこだわる必要はないかなあ、と思った。それ以前にソフトマジックの場合、規模が小さいのでエロという飛び道具なしでは勝負できない、という事情もあったけど。ただ、純粋な抜きアイテム、という形にするつもりはなかったのね。変なクリエイター意識からそう考えたというのではなく、ごく単純にそれだと先行き売り上げが伸びなさそうだから。

全体的に現在のその手のギョーカイを見ると、上記の市場からのニーズは、まずノベライズ化されたエロゲ、という形で対処されるようになり、2004年ぐらいから、オリジナルがぽつぽつ出るようになった、という感じだった。そういう意味では、交通事故的な偶然だったけど、「すい~とPシリーズ」って結構いい位置にいたんだと思う。

んでも、ソフトマジック社長の考えはこれとは微妙に違ってて、伝統的な70年代エロ漫画の手法で、シリーズ作っていこうとしていた。要するに従来型の官能小説の後を追いかけようとしてたんだが、このジャンルはメインターゲットになっている団塊世代のお父さんが枯れてくるに従ってどんどこ右肩下がりになっている市場だ。だもんだから何度も

「フ●ンス書院が夜逃げした後に、空き巣に入ってどうするか」

と意見したんだが、強くいったら一時的にだが仕事(銭貰ってないから仕事といえるかどうか疑問だが)干された。
その「干された」時期(1~3月)に出たものについては、何回か電話かけて「どういうお客さんを想定してるんだ、あれじゃ売れないだろう」と意見した。確かに70年代のエロ本だと考えれば、基本に忠実に、手堅く作った本なのだが、それだと想定できるお客さんは「萌え絵イラストの入った本で一本抜こうと考える団塊のお父さん」という、多分地上には存在しない生物になってしまう。ジャンル自体に将来性があるのにそれではすごくもったいない結果になる(実際なった)と思ったので、「それ以上やるとまた借金膨らむから、とにかく月に一本オレに作らせろ」と言ったら、たまたまソフトマジック自身で本が作れない状況になってたんで「んじゃ全部作って」となった。後は以前に書いた通り。

結果的に、「すい~とP」シリーズを全部一ヶ所に集めてみると、「なんだこれ不統一だよなあ」という印象を受けるのだが、ちょいちょいっとそれらを2グループに分けると、不思議にそれぞれで統一感が出てきてしまった(これやったのは某チュアブルソフトのプロデューサー)。実際売れたものと、これからうちが作ろうとしていたものは同じグループに属していて、これはやっぱり将来的にそれなりの市場を作りそうなので、商売人として惜しくて仕方がない。取次に口座作るだけの金があったら、自分で版元始めちゃうぞ、ぐらいまで思っている次第である。

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お葬式

家に帰ると、嫁が熱心に「亭主がいきなり倒れたら、どうやって葬式を出すか」という番組を見てた。阿呆な話である。

君の亭主は生まれた時から、親戚率いて滞りなく両親の葬式をきっちり済ますことを運命付けられ、そう育てられているのである。また、実家に帰ればじいさま・ばあさまが亡くなった時にどこの葬儀屋(田舎だから農協系だ)にいくら払い、どの坊主(小学校の頃野球やって遊んだ相手だ)を呼び、どこらの親戚からいくらの香典貰ったかについてまで全部記録が残っている。それを引き継いで親の葬式出すわけだから、何も悩むことはあるまい。

が、「親よりも早くあんたが都内で死んだ場合はどうするの?」とか言ってきやがった。これもまた愚問である。
親より先にくたばるようなダメ惣領は、区役所のビラに掲示してある梅コース25万円也で無縁仏同様に始末すればそれでいいのだ。そうなっては子孫に顔向けできんわ、と思うから、親の七回忌きっちり終わらせるまでは、たとえテポドンが頭上から落下して来ても死なんぞ、と決めて生きてるのに。

てか、こういうやり取りを通して思ったのは、自分みたいに20歳になった時から、親の葬式をどう執り行うか、ということをシミュレーションし続けてきたような人間はごくわずかしかおらんのだな、ということだった。はい、そこのあなた「それは変」だとは思わないように。ここ400年ぐらいの歴史を振り返ってみると、ワタクシのような存在の方が実はスタンダードで、何も考えてない方がアブノーマルなのだ。

それはともかく、今の世の中でも毎日死人が出ており、その葬式が執り行われている以上喪主というのが必要で、ワタクシはその喪主になるための教育つーのを施されて育ってきたわけだ。そこに希少価値があるんなら、これ商売のネタにならんかね?などと考えてしまうのである。

これは要するに、きちんと親を養えなかったり、死んだ後の始末ができないニートどもになり代わり、その親たちを供養してやろう、ということになるんだが。ニートどもの親にとっては、やっぱり余計なお世話ということになるのだろうか。

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June 07, 2005

残っているものとなくなったもの

なんか久しぶりに時間の余裕があるんでネットとか回ってたら、ソフトマジックの倒産って小さい騒ぎになってたのんですね。で、どうも全体的に情報不足みたいなので、微妙な場所にいる当事者としては、できるだけ情報提供せんといかんかな、とまあこう思いました。

負債一億二千万、とかになってます(管財人からうちに来た手紙では一億四千万。さらに管財人が把握してなかったうちの債権乗っけると一億六千万という勘定になる)が、その額が大きいから潰れたんじゃなく、毎月回す運転資金が枯渇したのが倒れた直接の原因です。

去年の夏に「すいーとP」シリーズ出した頃には、社内には社長含めて三人しかいませんでした。で、営業だった人を編集に回し、もう一人にDTPやらせて、なんとか本作ってたわけですよ。

「すいーとP」シリーズは、重版になった本も4冊出てますから、前半においては結構好調でした。が、その利益は全部前の年の借金の支払いに回ってしまい、製作者にはほとんど支払われてなかったんです。このブログの左っかわで紹介されている本4冊のギャラは、全部未払いです。でもまあ、「売れてるんだから、そのうち立ち直るだろう」と考えて、あんまりきつく請求もしませんでした。

で、年を越したら多少マシになったかと言うと、逆に悪化して1月から従業員二人に対する給与が支払われなくなります。3月になると、もうこれ以上従業員を雇い続けられないので解雇し、書籍の製作業務をうちの会社に委託してきた、とこういうわけです。だから、4月売りと5月売りの本の奥付には、わたしの名前が編集人として乗ってるのですね。

3月に仕事引き受けた時には、「PC本の返品がまだ止まらない。でも、もうほとんど残っていないはずだから、年度が変われば状況は上向く」と社長に言われました。なるほどそうなら、6月ぐらいからは製作資金を回して貰えるでしょ、とこちらでは期待したわけです。1~3月の間、かなりズレた本出してたけど、ここでうちがテコ入れすれば、昨年後半みたいに、いやそれ以上に売れる本作れるでしょ、という自信もありました。なにせこのブログのバックナンバー見ればある程度わかるように、社長はオタじゃありませんでしたが、わたしゃオタなので。

4月~5月前半はそういう感じで比較的平穏に過ぎたのですが、5月の20日過ぎになって、数日前の記事にも書いたように、社長また落ち着かなくなってきたのですよ。曰く「ノベルの返品が止まらない」。止まらないって、前から返品されてたのかよ、とかこちらでは思いましたけど。なぜかこちらでは、取次さんから来た資料見せて貰ってないので、どの本がどれぐらい返本されてたのか正確なことはわかりません。

んで、「話がしたい」というので、四谷にでかけていって居酒屋でビール飲みつつ話聞いたわけです。そこで言われたのが「どんなにいいものを作ってもらっても、うちの看板ではそれを売ることができない。だからノベルの製作やめよう。」とのお言葉。それに対して一時腹を立てたけれど、一晩で考え直した、てことについてはすでに書きました。


その翌々日、ソフトマジックという会社は事実上業務を停止しました。この時点をもって、取次さんとの取引も停止しているはずです。同日夕方には、HPも閉鎖されてます。うちの方も、当日になって電話一本貰っただけで、事前に「会社たたむ」とは一言も聞いてません。なお、不渡り出しての倒産ではなく、あくまでも自己破産の申請なので、社長が思いとどまったらまだ多少持たせることはできたはずです。

結果的に最後の2ヶ月を他社に下請けに出してしまっているため、「すいーとP」シリーズの製作チーム(編集・作家・イラストレータ)はそのまんま残ってます。ついでに、印刷所に入れたものと同一のDTPデータも、全部保持してます。6月売りについては、校了寸前のほとんど完成品のDTPデータがあります。あと、最後に社長が送ってくれた、4月刊までの見本が各10冊ぐらい。

ないのは、5月刊の本。取次や書店さんに送る分どころか、著者に渡す見本すらありません。
しょうがないから、自分の書いた分だけでも買いに行こうかな、と思うのですが、何か釈然としませんな。

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孤立する世代

現在、いわゆる「オタ市場」で主役として君臨しているのは、30~35ぐらいの団塊Jrであろう、とワタクシは踏んでおります。

この人ら、ある意味「絶対消費者」であるため、ツボをうまくつけばナンボでもモノを買ってくれるという特徴を持っております。なんでかっつーと、少なくともワタクシの身の回りにいるオタ属性を持っている人に限っていうと、凄まじいまでのコンプレックスにまみれておるのですね。先に書いた「ツボ」てのは、このコンプレックスを解消するためのツボというわけでして。彼ら要するに、自分の立場を正当化してくれるようなモノがあったら、もう夢中になって財布の底をはたいちゃうのですよ。

まあ、彼らだけがコンプレックスまみれ、というわけではなく、人間40過ぎてもう自分の能力がこれ以上成長しない、と悟ると周囲の脚を引っ張って自分の相対的な地位を保とうとするものでございます。これは「魂の老化」とでも呼ぶべき現象なんですが、どうもこいつらその前の世代よりも魂の老化のスピードが速い。

このスピードが速かったとしても、その後の世代の老化速度がさらに速ければ、悪目立ちすることはありません。ですが、さらにその下の世代のオタと付き合ってみると、どうも彼らはそのちょっと上の世代よりも、潜在能力的に高いものを持っているし、その分魂の老化も遅そうなのですね。いや、これはあくまで自分の身の回りからサンプル拾った結果に過ぎないので、世間一般に範囲を広げると、違っている可能性もあるのですが。

しかし、これがもしワタクシの読み通りであった場合、かの世代、近い将来回りの人たちにとって何の役にも立たない穀潰し世代として忌み嫌われるようになる(無論例外となる個人は、山ほどいることでしょう)のではないか、と今から心配になるのですよ。

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June 06, 2005

最後の数日

本を単なる著者以上の立場で作るようになって(たった2ヶ月だけど)わかったのは、出版社てのは「作る人」と「売る人」がきちんと揃ってないと回転していくもんじゃない、というごく当たり前のことでした。

で、その2ヶ月の間、「作る方」を何とか立て直そうとしてみたんだけど、どうにも「売る方」が崩壊してたんで、なかなか結果に結びつかなかったみたい。

まず、書店回りの営業が、いつからだかは知らないけれど止まってた。また、FAX営業用のチラシも長く作られておらず、5月になってからこちらが作ってHPに乗っけて、多少動くようになった。

この状態でも、やろうと思えば多少は本は売れるんですな。どうするかというと、表紙買いを期待するために、タイトルを思いっきりわかりやすいものにする。表紙そのものも、もちろんわかりやすく作る。そこらまで狙って作ったら、潰れたその後でも注文が結構来たのですよ。

版元の社長が5月になってから「もうダメかも」と弱音を吐いたのは、本人から見ても「できがいい」と思われてたノベルズの返本が多かったというのが理由で、「自分とこのブランドでは、いいのを作っても売れない構図ができあがってしまっているのだ。所詮うちは官能劇画の版元(PC本出す前は確かにそうでした)だから」とか言うようになったのです。んで「ノベルズやめて『えろたん』に続いて作ったネタ本シリーズだけにしよう」とか言ってきたわけです。

この時点でこちらちょっとむっとして「ノベルズ作らねえならうちは完全に手を引くぞ」とまで思ったのですが、一晩家で考え直してみたのですよ。「まだこの状態でも多少売れる本は作れるんじゃないか」と。

んで、考えついたのが、同人とプロの境目ぐらいにいる電波な連中をかき集め、思いっきり勘違いしまくったエロを書かせてアンソロジー集作る、というもの。DTPとイラスト込み、装丁除いた状態で総経費40万で一冊でっちあげるつもりでしたね。キワモノ好みと、書き手と同類の電波にしか受けないので、中期的に見てもやせ細る一方のジャンルだとは思いましたが、営業が崩壊している現状でも、わずかに残った「ブランドイメージ」とやらで半年ぐらいは持たせることができよう、と考えたのです。市場を開拓していく、ていう攻めの経営ではなく、営業崩壊による規模縮小のスピードをいかに鈍らせるか、というほとんど撤退戦というか、本土決戦みたいな本作りになるのですが。

その前の作品群がある程度予想通りの結果になってたので、これもそこそこうまくいったんではなかろうか、と思うたのですが、実行に移す前に版元潰れちゃったので、現実に効果があったのかどうかは今となっては何も言えません。

誰か実際にやらせてみたい、という版元さんがいるのなら、やってみる気はあるので、あと半年で会社畳みたい、というアングラ・サブカル系の出版社の社長さんは、ワタクシに電話してみてください(笑)。

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新光華商場

5月末から6月頭にかけて、台湾に行っておりました。

例によってComputex関係の取材と、できれば傾いた某版元の本の翻訳版を出してくれる出版社見つからないかなと思ってたんですが、行く寸前に元が潰れたので、単なる慰安旅行に。

つっても、行ってから仕事が追っかけてきて、二日ホテル内に籠って原稿書いていたけどな。

んで、予想以上に少なかった自由時間を使って、行ってみましたよ光華商場。去年火事起こしてオタショップとか離れた、と聞いてましたが、地下は大体いつもと同じ感じでした。

「おー、台湾オタ文化の中心は健在か、よかったよかった」と階段上って外見たらびっくり。「新光華商場」と書かれた看板を掲げた怪しげなビルがあるではないですか!

中に入ってみたら、もう日本製のいけないDVDやVCD、オタ書籍の翻訳版とかばっかり売っておりましたね。古い光華商場の一番危ないゾーンが、そっくりそのまま引っ越してきた感じでした。

で、最終的に見つけたのが「最萌的英文単字集MOETAN~萌単~」、つまり「もえたん」の北京語版でした。

……なんか台湾でも「萌え」で一商売できそうですぞ。

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June 05, 2005

セーゾンしとると言っとかんとマズいかね

以前の記事のコメントに出てきましたが、5月末にうちと取引があったソフトマジックという会社が倒産しました。

ここ、元はPC系の本を作ってて、それの関連で仕事始めたんですが、2003年度に大赤字こさえたんですよ。

んで、一緒に本作ってた下請けの編プロとかライターとかほとんど逃げちゃったんですな。

幸か不幸か、ワタクシは逃げ遅れまして、社長といろいろ談合した挙句、「お兄ちゃん。」なる小説を書いて出しちゃったわけです。その時は社長「わが社がやるべきだったのはPC系の本ではなく、オタを相手にする本だったんだ!」と、同時期に出た「えろたん」と一緒に「すい~とP」なる名前付けてシリーズ化しちゃったんですな。

無論、シリーズ化決定の時点で第二段以降の企画なんざカケラもありませんでしたが。

それでも何とか格好つけながら、シリーズ作り、それなりに売れたのも出て「こういう風に作れば数字は出るのかな」という手ごたえを掴んだ頃、うちとここは一時疎遠になっちゃいました。社長曰く「もっと売るためにエロくする」んだとか。それまでの作品がエロくなかったかし、本格エロは書けんだろうから、あんたもういらん、という感じだったみたいです。

しかし、そう言って出してきたもんが、現在の売れ筋から見るとあさっての方向向いていたんで、こちらは必死に意見したわけですよ。「そういうの出し続けると、また大赤字抱えるぞ。オタに受けるものを作れ」と。

そうは言ってもほとんど聞き入れてもらえない時期が続いたんですが、3月になるといきなり「あんたこのシリーズ作ってみない?」と持ちかけられました。で、うちで本全部作って、ソフトマジックの名前で出す、と決まったんですよ。この体制で作った本が出たのが4月。つっても、この月の場合、以前にソフトマジックが企画立てて発注した本の編集引き継いで出しただけです。元「コスプレ喫茶殺人事件」となっていたタイトルを「それはオヤジ臭いんで絶対売れないからメイドカフェにしろ」と言い張り、結局妥協して「コスプレカフェ殺人事件」にしたぐらいのことはしましたが。

うちが企画立てて作ったのは、5月に出した小説二本(片方は別人が書いたことになってるが、実は原案はワタクシだった)からですが、そいつが出た当日に、版元が自己破産しちゃったんですな。自己破産ってのは、企業の自殺みたいなもんなんで、その直前に版元の社長の心が折れてしまうような事件が起こったらしいです。ここらの詳しいことは知らんです。うち下請けだし。

というか、一時は役員として経営に参加しろ、と誘われてはいたのも事実なんですが、微妙に綱渡りっぽいのは知っていたんで、「役員になったその瞬間からうちに借金取りが来るような事態は避けたい」と言って拒絶し続けたんですな。だもんだから、うちの場合「負債」てのは、4~5月分に出した本の作家さんに払う原稿料とイラスト代ぐらいしかないです。それに関しては、本作り引き受けた時に用意しちゃってたし、そういう事態に備えて一冊自分で書いてたから、新たに金策に走る必要も出てない。てな感じで、中には連鎖倒産を期待している人もおるかもわからんですが、うちは潰れません。はい。

で、版元倒産したおかげで、うちにはあの手のノベルズを月3冊企画生産することができるシステム(著者・イラストレータとのコネクション含む)が残っちゃったんですが、どっかこれを買ってくれる版元さんいませんかね。

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